婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました

「私もジェフェリー様はジュリアナ様のことをお好きなのだと思っていましたから、」

「……そうだよな。セリーナの事を好きなのに冷たい態度を取っていたから」

 しゅんと小さくなり肩を落とすジェフェリー様は人が変わった様に、喜怒哀楽を表現しますわね。

「噂の元は断ちました。裁判に持ち込まなくとも勝敗は見えてましたし、ゴシップ誌へは名誉毀損で慰謝料の請求、ゴシップ誌は事実無根であったと謝罪文を出させました。それにより廃刊になったのよ」


「まぁ、そうでしたのね……」

 廃刊になるだなんて……でも王族であるジェフェリー様の嘘の噂を本当の事のように記事にしていたのなら、ちゃんと調べていなかったという事ですものね。記者としては失格と言われても仕方がありませんわよね。


「フロス商会の動きを見ていたら、面白い事がありましたのよ? ご存知?」


「いいえ、存じ上げません」


「フロス商会はランディ侯爵家へ業者の立ち入りを禁じたらしいわね」


「なんですって! それは喧嘩を売っているのですか?」

 ジェフェリー様が立ち上がりました


「そう取られても仕方がないわ、セリーナ逆恨みされてるわね」


「だから業者が替わったんですね。屋敷のみんなに迷惑をかけてしまって……」


「ランディ侯爵はああ見えて怒ってらっしゃるから、これからどうなることかしらね」


「お父様が……」




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