不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。
「伊都ちゃん!」
真実ちゃんの声が、キンッと耳に響く。
衝撃に備えて、目を瞑った。
「――……っ!」
「……」
真っ暗な視界、痛みは襲ってこなかった。
その代わりにふわっと香ったどこか懐かしい匂いと、咄嗟に支えてもらった誰かの腕の感触が、優しくお腹のあたりに伝わる。
あぁ私、この匂いを知っている。
目を開けて確認しなくたって誰だか分かってしまうくらいに、この香りが愛おしい。
「……律、くん」
「気を付けなね、伊都ちゃん」