不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。











「いつか、絶対にキミを迎えに行く、待ってるね。その会話の最後にね?」






“――もう一度、ここで会おうね”

「「もう一度、会おうね」」






「え、伊都ちゃん覚えてるの?」


「い、いえ。今咄嗟に、思い出して……」




薄っすらと見え隠れするその記憶を、一生懸命に拾い集める。


お父さんの事故のことを知って、お世辞にも笑うことができなくなった私を誰よりも心配そうな顏で見る男の子。


『お別れの挨拶をしてきなさい?』とお母さんに背中を押されて、不愛想にたったひと言『さようなら』と言い放って帰って行こうとした私の背中を追って走って来てくれた――……それが律くんだ。









「これで、最後の約束を叶えたよ」


「……っ」


「ちゃんと迎えに行って、もう一度ここで出会えた。俺はもうキミを、離したくない」


「律、くんっ」


「これから先、最悪伊都ちゃんの方から離れられることはあったとしても、俺から伊都ちゃんの元を離れることはもう二度と、ないと思ってくれていい」


「……!」




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