気づけば、吸血王子の腕の中【上】
護衛をつけるほどの価値を、ないと判断したのではないか、とか。
本当は煩わしいと思っていたりするのだろうか。
でも、“行かないで” と、たぶんだけれど、言っていたし。
でも、本当に行かないでほしいなら、私のそばに誰かをつけておくはず。
暖炉の前で毛布にくるまりながら、窓を見やる。
────いなくなっちゃったら、ダレル様は心配してくれるだろうか。
愛に飢えた17歳の少女は、またもや自ら危険に身を投げる。