気づけば、吸血王子の腕の中【上】

採寸の翌日、彼女は大量のドレスを持ってやってきた。

下着にコルセットにアフタヌーンドレス、ガウン、ボレロや室内履きまで揃っていた。

ちなみに、ヴェロニカはダレル様に生地の相談に行っていたため、広間に来られなかったらしい。


ダレル様の意見を汲めといったのはダリア様で、服の仕立ても急かしたのだった。

そう話したヴェロニカは、あたしも心配で行きたかったんだよとも言ってくれた。

優しい人だと、つくづく思う。



ダリア様は毎日真新しいドレスを着た私を見に来て、大げさなくらいに褒めて慌てて去っていく。


嵐のような彼女にはついていけないが、ナターリア自身も毎日目にする華やかなドレスにどぎまぎしたことは否定できない。


寝る前に翌日着る服をベッドから見える位置に飾っておいている。

今日は、ダスティピンクのシンプルなシルエットのドレス。


それをヴェロニカが着付けてくれるのだ。


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