ぶっきらぼうなロマンチスト
初めて彼を見たのは高校生の時だ。
商店街の中にある小さな花屋から「店の手伝いせんか!!馬鹿たれ!!」と怒鳴り声と共に走って出てきたのだ。当時彼は金髪の長髪で、眉毛も細くてとても目つきが悪い。ルーズに学ランを着崩して、某キャラクターの赤い健康サンダルを履いていた。

私はぶつかりそうになって、思わず「きゃ」と小さく悲鳴を上げた。彼は少しばつの悪そうな顔をして「わりぃ」と言ってそのまま走り去った。そのまま眉を釣り上げた花屋の店主が道端までドスドスと大きく大地を踏みしめながら歩いてきた。きょろきょろと辺りを見渡し、額には青筋を浮かべている。その様子が少し怖い。

「あの野郎…あ!どうもー、いらっしゃいませ。桜ちゃん。今日もお見舞い用のお花かな?」

花屋の店主は先ほどまでとは打って変わって、優しく問いかけた。
いつもの店主に戻ったと安堵の溜息をもらす。
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