月下の逢瀬
「雪、降りだしたな」


「ホントだ」


映画を見終わって外へ出ると、雪がちらついていた。
どんよりとした空を見上げていると、
先生があたしの頭を撫でた。


「椎名は雪好き?」


「あんまり。寒いのは苦手だから」


首を横に振ると、くすりと笑う。


「じゃあとりあえず温かいものでも飲みに行くか?」


「行きたい」


「ん」



日曜日の街は少し混んでいて。
先生の少し後ろを歩いていると、さりげなく手を掴まれた。

きゅ、と握られた自分の手をちらりと見て、それから先生の横に並んだ。


「心配しなくても、はぐれたりしないよ」


「手を繋ぐ口実。それに、あったかいだろ」


さらりと返された。


「椎名。あとは、どこか行きたいとこある?」


「え、と。本屋さん行きたい。さっきの映画の、原作読みたくなったから」


「面白かったもんな。わかった、行こう」

< 184 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop