渡せなかったチョコの行方
2月14日。

私立の中高一貫校に通う、15才の美しい少女は、周りの女友達に無理して合わせる形で、バレンタインのチョコを学校に持ってきていた。

何故、そんな無理をしているのか。

小学生の頃、転校生だった少女は、一時期かなりハードないじめにあった。

少女は元々、かなりマイペースで、容姿も目立っていたが、ただそれだけでターゲットにされてしまったのだ。

陰湿ないじめに疲れ果てた少女が、1日だけ学校をずる休みし、翌日、気が重いまま登校すると、その日を境に、いじめがピタリとなくなっていたのである。

驚きつつも、とりあえず安堵した少女。

何故、こんなに突然、いじめが終わったのか。

しかし、もうあんな思いは懲り懲りだと思った少女は中学受験をし、それ以降は、個性を殺してでも、周りに合わせるようになった。
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