あくまくんが愛してやまない。
上目遣いで彼を見つめる。
どうしてこんなに余裕なんだろう、と不思議に思っていたら、恭平くんはわたしの頰に手を添えた。
「ね、キスしていい?」
……そんなこと、聞かないでください。
頭がくらりとする。
脳が溶けそうになりながら、なんとか理性を保つ。
だめだ、ここはいちおう学校だ。
だれが通るかわからない。
万が一先生にでも見られたら……、そんなの死んでしまう。
「だ、だめ……っ!」
慌ててバッと唇に手を当てて後ずさる。
そのわたしの行動に、恭平くんは笑みを浮かべながら問う。
「へえ、なんでだめなの?」
「だ、だめなものは、だめなの……っ」
「ふーん、残念」
「恭平くんこそ……なんでそんなこと言うの!」