あくまくんが愛してやまない。
彼のファンの子たちに追いかけ回される図を想像する。
わたしみたいなガチ恋勢が相手なら、ぜんぜんありえる話だ。
……なんと、恐ろしい。
めまいをおぼえながらも、なんとか正気を取り戻す。
「うーん、正直わたしはまだ信じられてないけど……」
本日何度目かわからないため息をつき、エミは頭を抱えてしまう。
わたしも同じようにしたい衝動に駆られつつ、やっぱりあれは幻ということにしようか……なんて考えていたそのときだった。
きゃーっという黄色い声が廊下から聞こえてきた。
それも、ほんの近くで。