あくまくんが愛してやまない。
「うう〜っ、届かないよ……っ」
何度やっても結果は同じ。
台かなにかない限り、この大きいポスターは貼れない。
それでも担任の鬼の形相を思い浮かべて必死で飛ぶ。
どうしたって無理なのに……、と泣きそうになっていると。
ふっと掲示板に影ができ、だれか、人が来たことを悟る。
「あのさ、飛んだら危ないだけじゃん」
少し掠れた低めの声が、後ろから聞こえた。
びっくりして、ぱっと振り返る。
そこには、背の高い美形の男の子が可笑しそうに肩を揺らして立っていた。