あくまくんが愛してやまない。
「あ、そーいえば次の授業、体育だったわ」
屋上でぐーんと伸びをしていた恭平くんは、突如思い立ってわたしに言う。
ちなみにわたしは8組で、彼は2組。
クラスが離れているから階もちがうし、滅多に会えない。
まあ、だからこそうちの階に来たときにあんなに騒ぎになったんだけど……。
それはそうと、いまの体育の種目はバスケ。
目の前の彼は運動神経抜群らしいので、軽くできちゃうんだと思う。
恭平くんがバスケしているの見たかったなあ……。
ぜったいかっこいいもん。
同じクラスの女の子たちを羨ましく思っていると、恭平くんはさっさと屋上から出ようとする。
……もう、行っちゃうのかな。
あまりにも寂しい去り方に、虚しく彼の背中を見つめる。