2ねんせいの夏。

嵐の夜

次の日は急な大雨に、台風のような風、

落ち着かない健と潤が見つめる窓の先には、

風に揺れる木と、雨でできた水溜まりどころではない…川、

そんな日でも、ぽっかり空いた駐車場……。

『明日の花火大会大丈夫かなぁ。』

『大丈夫かなぁ。お父さん達、ちゃんと時間に遅れないように帰ってこれるかなぁ。』

健と潤の会話は、天気を心配する潤と、イベントごとには遅れるのが定番の親を心配する健で、噛み合っていなかった。
足元ではホームがじゃれていた。ホームとは、健が誕生日にもらった子犬。

『明日の天気は晴れだって、お天気お姉さんが言ってたよ。』

奈々が言う。

『父さん達、明日は早めに帰るってさ。』

慎が言う。

『明日は春達も家に集まるからにぎやかだぞ!』

宏が言う。

『それが楽しみなんでしょ、貴君とお兄ちゃんは。』

亜子が言った。

『そっか、だから元気なんだ、貴君。』

奈々がそう言って、貴の方を見た。

『べっ、別に?
なんで俺がそんなことで、はしゃぐんだ?子供みてぇに。』

あきらかに動揺している。

“子供だ……!!”

皆心の中でそう呟いて、
久々の貴の元気な様子を眺めていた。
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