Contact〜再会した初恋の君に〜
side 宏和
紗希を家まで送った後、自宅に入ると先ほどまで感じていた暖かさがなくなっていた。
紗希がいないだけでこんなにも冷たくて寂しい部屋になるのかと思った。
昨夜は特別な夜だった。
シャワーを浴びた後のほんのりピンク色に染まった紗希の頰を見ただけで狼狽えるなんて、どれだけ飢えているんだと自分で突っ込んでしまった。一度落ち着こうとシャワーを浴びに行ったのは、頭を冷やすのに効果的だった。
紗希と一緒に過ごしたベッドに一人で寝転んでいると、昨夜のことが夢だったのではないかと感じ侘びしくなった。
8年という年月が経ち、紗希がどこにいるのか、もしかして結婚でもしていたら…。そんな不安を抱きながら東京に戻ってきた。
勤務先で運命的な再会をしてから、祐貴と佳純の協力でちゃんと話ができるようになるまでの日々の長さがあの頃の俺を焦らせていた。
付き合えるようになってもお互い仕事が忙しくて、ゆっくり1日を過ごせたのは昨夜が初めてだった。
紗希が動揺しまくって初めてだと言った時、俺の気持ちがあれほど浮足立ったことはなかった。だから俺も初めてだなんて言うタイミングを失ってしまった。
紗希のこと大事にしたかったけど、俺はちゃんと出来ていただろうか?
正直、自信はない…。
とにかくあの時感じた嬉しさは相当なものだった。
紗希と想いだけでなく身体も重ねることができて、長い間抱えていたモヤモヤとした気持ちがいっきに晴れた。
俺としては紗希に1日でも早くこの家に越してきて欲しい。
そして、あっという間に1週間が経った。