Contact〜再会した初恋の君に〜
重なる未来

side 宏和



夕方、俺は紗希が仕事を終えて駐車場まで来てくれることを信じて待っていた。

昼間にカウンセリングルームで真紀子さんから『今は迷っているみたいだけど紗希ちゃんのこと信じて待ってあげてね』と言われたからだ。

本音を言えば、カウンセリングルームまで迎えに行って、何が何でも連れていきたいと思っている。でも、そうしなかったのは紗希の気持ちを考えてのことだった。強引に連れてくるのでは意味がない。

来てくれると信じているが待っている時間はとても長く感じる。

「まだかな…」

彼女の勤務時間はすでに終わっている。何度も時計を見てはその針の進みの遅さにため息を吐く。

今までの紗希なら遅くなる場合はスマホに連絡が入っていたが、今日はどうなんだろうか…。

日が暮れていくとともに不安ばかりが広がっていく。

夕焼けにそまる空を眺めていると窓にコンコンとノック音がした。

外を見ると紗希がそこに来ていた。慌ててドアを開けて車から降りる。

「紗希。お疲れ様」

抱きしめたい気持ちを抑えて、彼女に声をかけた。
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