Contact〜再会した初恋の君に〜
続くすれ違い

瀧本くんと再会した日から1週間が経ち、入院設備があるこの病院では医師はゴールデンウィーク中でも交替で勤務をしているのだろう。

私の方はというと外来診療のない休日は基本的に勤務はない。同じ場所で働いていても、職種も立場も勤務形態も違う。

明日からの連休はどこにも行かず、誰に会うこともなく、ゆっくり家で過ごそうと決めていた。

仕事に支障があるようでは、声をかけてくれた真紀子さんに申し訳がたたない。

次にまた瀧本くんに会った時に動揺しないように気持ちの整理をしなければ、そう考えて記憶を整理していく。

高校生だった私は密かに瀧本くんに憧れていた。

彼がクラス委員に指名したこともあって、一緒にいる時間も多かったし、お互いの家が病院ということもあり、将来の夢についても語り合ったりする仲だった。

でも、男女問わず人気者だった彼が私を好きになるはずはないと思い、その気持ちは隠し通すことを決めた。

それに彼といると周りからの視線が痛いこともあり自然と線引していたし、高校生活は誰か特定の人と付き合うより大勢で楽しく過ごしたかったこともあり、憧れだけで十分だった。
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