Contact〜再会した初恋の君に〜

side 宏和


ゴールデンウィークに入り、先日会った田中のことを考えていた。

俺が彼女と再会した翌々日に、先輩が彼女に声をかけることができた、と嬉しそうに話してきた。

その翌週には先輩から「7階の食堂に行ったら紗希ちゃんがいて、『お隣いいですか?』って声をかけたらいいって言ってくれてさ。並んで一緒にご飯を食べたんだぞ」と嬉しそうな顔で言われた。

まったく…いつから名前で呼ぶような関係になったんだか…。

俺が行く日には見かけたことすらないというのに…。すれ違いばかりの俺。

そもそもゴールデンウィークって、カウンセラーは勤務していないのか?

そうだとしたら最近会えないことは納得できるが、この前はちょっと強引すぎたから避けられたりしてるのか、なんて心配にもなっていた。

そろそろ梅雨入りしそうな頃、俺の気持ちに合わせるように、毎日どんよりとした空が続いていた。

あれから1ヶ月も経つのに田中に会えなくて、本当に同じ建物内で働いているのかと思うほどだった。
< 61 / 185 >

この作品をシェア

pagetop