あさまだき日向葵
こうして、私は進路を変えた。
両家公認になって、うちの両親がいない日は塔ヶ崎家にお邪魔していた。すっかり馴染んで来た。

お姉さんが言うには
「撰、兄弟で一番変わってるでしょう? だから、みんな聡子ちゃんのこと離したくないのよ」
ということらしいけれど、お姉さん……この家族の中では塔ヶ崎くんが一番《《常識人》》なんだよ。

色々まとめて、大変そうだ。だから、塔ヶ崎くんいつも誰かの相談に乗ってるのかな。

あと、この家で「塔ヶ崎くん」って呼んだらみんなが反応しちゃうから

「撰って呼んで」って塔ヶ崎くん以外から言われてしまって、どうしよう、恥ずかしい。

「聡子、送ってくる」
塔ヶ崎くんと家を出ると、そこから手を繋ぐ。

「……今日のも楽しかった、お邪魔しました」
「いえ」
「今度はうちに来てね」

って言ったら複雑そう。

────

「ちょ、聡子離れて」
「い!や!」

私の部屋、うちの両親の帰りは遅い。
私は触れてたいのに、ここへ来てくれた日は塔ヶ崎くんは触れるの嫌がる。

「何でぇ?」
「……二人だし」
「二人だから、くっつくんでしょう?」
「ほら、男の子には色々あるんだよ?」

と、離れられてしまった。
私が離れてほっとしてる塔ヶ崎くんが油断してるうちに、顔を両手で挟んでキスしてやった。ふん。
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