あさまだき日向葵

3.家庭の事情-2

いつもの私ならば早く行って、夏休み中解放されている自習室で勉強するのだけど……この日はギリギリだった。
さっきの出来事を完ぺきに頭から払うのは無理だったけれど、初っぱなからこの夏期講習前の今の実力判断テストだったお陰でそれなりに集中出来た。

塾を一歩出たらもうダメだった。他校の生徒もいつもは制服で来ているのに、夏休みは私服だ。今まで気にもしなかったのに女子の服装が気になる。進学塾だっていうのに、みんな可愛い格好してる。
急にダサイって思われてる気がして、早く帰りたい。帰りたい……というか、明日も塔ヶ崎くんと会うのなら、着ていく服もない。
こうなって初めて、私は勉強以外の事を蔑ろにしてきたのだと思い知らされる。
何の準備もしてこなかった。夏休みに友人と会うとか。好きな人((かり))に会うとか。そんな準備をしてこなかった。

『少し帰るの遅くなるね』
母親にそうメッセージを送った。塾の帰りに寄り道したのは初めてだった。
ショッピングビルに到着すると、館内マップを確認する。……服は2階か。
同じくらいの年の子も結構いて、何だか私は人生損してきたような気がした。
自分ではどれを選んでいいものかわからなくて、可愛らしい女の子が手に取ったものをその子がいなくなってから、手にとってみたりした。
< 26 / 186 >

この作品をシェア

pagetop