あさまだき日向葵

6.ふたり

朝の涼しいうちになんて言葉はもはや使えなくなってきている。
だって、朝にすら涼しい時間がないのだから。
……暑い。

「日傘が欲しい……」
リビングから外を見ながらそう呟いた。朝の8時過ぎ、ピッとクーラーをつける。
寝る時もつけているけれど、朝起きてすぐは何となくクーラーをつけずに、窓を開放していたが、すでに限界がきていた。

「ああ、一つ余ってるのがあるわよ」
母親が、折り畳みの日傘をくれた。

朝食が済むと父親も母親もバタバタと仕事へ出掛けて行って、家の中は自分の立てた音以外は聞こえなくなった。
あとは……窓の外から車の行き交う音、くらいだ。

幼少期は祖父母がいてくれたと思う。
それぞれ他界してしまって、今は両親と、両親のいとこが親戚にいるけれど、祖父母のお葬式にくらいしか会ったことがない。

基本的に夏休みみたいな長期休みは塾に行っている。寂しくない。静かな方が集中出来るし、だいたいの事は一人で出来る。
将来への漠然とした不安はあるけれど、みんな、あるのだろうと思っていた。
でも、みんなの将来への不安は私とは少し違うのだと年齢が上がるにつれて実感するようになった。
漠然としていたものを、リアルに目の当たりにしたのだ。
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