公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 わたしだけが知っている究極の秘密なのである。

 彼女が公爵にではなく他の男性に快楽を求めた結果、彼女は身籠った。妊娠したのである。

 彼女曰く、公爵は一度たりとも彼女を抱かなかったらしい。婚儀の夜、つまり初夜ですら。

 それも驚きだった。だけれども、話をきくと彼女が拒んだらしい。

 なんでも銀仮面を外そうとしなかったから。

 たった一度のわがままだったという。
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