公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 銀仮面に覆われていない部分が赤く染まっているように見えたのは、陽光のせいかしら?

 いずれにせよ、その公爵の仕草が可愛すぎて自然と笑ってしまった。

 その笑いは、しばらく止まらなかった。

 その後、身繕いをしていたらジリアンがやって来た。

 胸元にサイネリアの束を抱えて。

 そのとき、ジリアンがわたしの担当だということを公爵が知っていたのだと気がついた。

 それもまた意外すぎた。
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