公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 それはともかく、姉は夕食のことでわたしを責めた後、すぐにギャラガー邸を出て行ってしまった。そして、彼女は戻ってこなかったのだ。生きている間は……。

 てっきり、公爵家に帰ったのだとばかり思っていた。

 それがいきなり、遺体となって戻って来た。

 ちょっと待って……。

「そうだよ、ミユ。エルガー帝国の帝都まで、馬を飛ばしても四、五日はかかる。三日前に会話を交わしているお姉さんが、エルガー帝国の帝都で亡くなることは難しい」

 ネイサンの言葉は、まるで呪詛のように耳にこびりついて離れなかった。

 姉は、堕胎手術で死んだのではない? 

 いったい、どういうことなの?
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