公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「ミユ、どうだ? 彼女と仲良くしてくれるか?」

 公爵の銀仮面がこちらを見おろしている。

「まったくもうっ! 閣下はじつにまわりくどいですね。はっきり告げたらいいでしょう?ミユ、 『『レディ・ローズ』はきみの為に心をこめ、時間をかけて調教をした。だから、乗馬を楽しむといい』。そんなふうにパーンと告白すればいいのです」

 イーサンのソプラノボイスがテラスに響き渡った。

「ブルルルルル」

 そして、レディがそれに同意するかのように鼻を鳴らす。

「イーサンッ!」

 公爵が怒鳴った。だけど、すぐに銀仮面の下に気弱な笑みが浮かんだ。
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