公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「きみは、おれの話をきいていたのか? というよりか、どうして空気を読んでくれないのだ?」

 公爵が叫んだ。

 そんなに大声をだしたら、このあたりの屋敷の貴族たちに迷惑がかかるかもしれないのに。

「ミユ、きみだ。おれのちゃんとした妻は、きみだ。おれは、きみを心から愛している。おれの妻は、きみ以外にいない。散々ひどいことを言って傷つけてしまったし、危険な目にもあわせてしまった。だが、これからは違う。きみを大切にし、守る。きみをだれよりもしあわせにする。だから、おれの妻になってくれ」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってください。公爵閣下、正気ですか? わたし、ですよ? 見た目がこんなのですよ? 性格だって『うーん』です。しかも、実家は借金まみれなのです。そんなわたしを? ははーん、わたしをかつごうとされているのですね? だったら、成功ですよ。一瞬でもその気になってしまったのですから」
「ミユ、どうしてわかってくれないのだ? きみをかついでも仕方がないだろう? 言っておくが、おれのきみへの愛は本物だ。任務の為とか偽装とかではない。ましてや借金の為でも。いったい、どうしたらわかってくれるのだ?」
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