公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 公爵と駐屯地に行って食事をし、馬をいただいて乗せてもらった。帰りの馬車内では、ドキドキもした。それから、屋敷をこっそり抜けだしてジェロームを見張り、彼らに殺されかけた。

 危機一髪のところを助けてくれたのが公爵で、その公爵とわたしの父親といっていい存在のボスが叔父甥の関係で……。

 きわめつけは、いま。

 公爵のまさかの「愛している」発言。

 信じていいのかどうかわからない。だけど、彼がわたしに嘘をつくメリットは何もない。揶揄ったりというのも、くだらなさすぎる。

 ということは、ほんとうに、ほんとうにわたしのことを?
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