公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「なに? ボス、その笑みはいったいなによ?」

 ボスの福福しい顔に意地悪な笑みが浮かんでいる。

「どうせくだらない作戦を思いついたに違いない」
「なっ、なによ? まだなにも言っていないのに、どうしてくだらないなんて決めつけるわけ」
「ああ、すまなかった。くだらないではなく小賢しいだったか? あるいはぽんこつかな?」
「ボスってほんとうに失礼よね。いいわ。とにかく、きいてちょうだい。きっと腰を抜かすほど驚くわよ」

 立ち上がると、ブレントンの執務室内をムダにあるきまわった。

 みんな期待に満ち満ちた目でこちらを見ている。

 とくにブレントンは、作戦の素晴らしさにきく前から拍手喝采しそうな勢いで身を乗りだして集中している。
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