公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 それにしても、ボスのことで驚くのは飽きたわ。

 というか、胡散臭い話が次から次へと出てきてイヤになってくる。

「イーサンとは、いっしょに育てられた幼馴染、というよりかは兄妹みたいなものなのです。今夜は、奥様をお守りする為にパートナーのふりをしているだけです」
「ふんっ! 幼馴染や兄妹なら、もっと大切にしてほしいし、尊敬とか立てるとかしてほしいよ」

 そのとき、イーサンが彼女とは反対の窓の方を向いてつぶやいた。

「奥様、弱い犬ほどよく吠えますわよね?」

 ジリアンは、そう言って微笑んだ。

 彼女のきれいな手は、イーサンの二の腕を握っている。
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