公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 使用人たちへの態度だけではない。

 どうやら、横領や盗みといった犯罪まがいのこともしでかしていたようである。

 そのことについては、執事であるモーリスがさすがに公爵の耳に入れたらしい。しかし、公爵はそのときにはとくになんの対処もしなかったとか。

 とはいえ、ウインズレット公爵家には専属の会計士がいるし、領地経営に関しては管理人がいる。

 だから、それほど大きな額を勝手にどうのこうの出来るわけではない。

 それでもやはり、その行為自体は見逃せない。

 モーリスたちには、姉のすべてのことに関して謝罪した。謝罪ですむわけではないけれど、いまのわたしに出来る唯一のことである。
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