公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 わたしだって「お飾り妻」でなければ、彼に魅せられたかもしれない。あくまでも「かもしれない」だけれども。

 とにかく、それほどハミルトン・ブロックという人はいい人なのである。

「奥様、大丈夫ですか? イーサンがとんでもないことをしでかし、申し訳ありません」
 
 ハミルトンは、両手でコック帽をクシャクシャにしつつペコペコし始めた。

「料理長、わたしなら大丈夫です。だから、やめてください」

 彼にやめるように言ってもきいてくれない。

「ええっ? 奥様だって?」

 ハミルトンにふっ飛ばされて体勢を整えた少年は、驚き顔でハミルトンとわたしを見ている。
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