さよなら、真夏のメランコリー
『そこはしようよ。先輩がしたいって思ってるのに、拒否ったら可哀想だぞ~』

「もう! からかわないでよ!」


楽しそうな真菜に反し、私はどんどんテンパっていく。
このままだと彼女のペースから抜けられなさそうで、「そろそろ切るね!」と言ってしまった。


『あ、逃げる気でしょー?」

「そ、そうじゃないよ! でも、明日は朝からバイトだし!」

『そっか。じゃあ、仕方ないね。その代わり、私がそっちに帰ったら、じっくり聞かせてもらうからね』


真菜は最後まで楽しそうに話し、『おやすみ~』と告げて通話を終えた。


ようやく解放された安堵感からか、自然とため息が漏れる。


輝先輩とは、明後日にもまた会う約束をしている。
それなのに、彼女から言われたことが頭から離れなくて、頬もなんだか熱い。


(明後日、どんな顔して輝先輩と会えばいいんだろ……)


彼と付き合えたことは嬉しいのに、今日はずっとドキドキしていて落ち着かない。


こんな状態で輝先輩に会ったら、心臓が飛び出すんじゃないだろうか。
大きな心配を胸に抱えた今夜は、高揚感が治まらなくてなかなか寝付けなかった。

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