彼の素顔は甘くて危険すぎる
鎮痛剤の悪用?!

(不破視点)

ひまりがあまりにも可愛いことを言ってくれた。
『好き』だと態度で少しずつ示してくれるようになって来たものの。
それでもやっぱり俺の方が好きすぎて、いつも空回りし続けてる感じは否めない。

進路を決めるのも、彼女にちゃんと打ち明けて決めたい所だけど。
正直、俺自身もまだ悩んでいる最中で。

『大学』ねぇ。
行く意味があまりないようにも思うけれど、行くのと行かないのとでは、その先の選択肢が断然違うのは理解しているつもり。

両親は、ちゃんと手に職つけて、一生食べていける職業なら越したことないという。
両親のように弁護士という選択肢もあるだろう。
ひまりの両親みたいに医師という選択肢ももちろんある。

やりたいことは決まっていて、俺なりの世界を作りたい。
世界征服したいとか、無人島を買い取って王国を築きたいとかではなく。
新しいジャンルの音楽の世界を見出したい。

今ある音楽はあくまでもベースであって。
それらを究極に極めて、新たな扉を開けたいという大それた野望。

今はまだ駆け出しの身分だから、必要と思われる環境を整えているだけ。
誰だって、最初から頂点にいる人なんていないから。

ただ、イカれた発想と言えばそれまでなのかもしれないから。
他人に話したことは無い。
いつか努力した先に、その世界が広がってたらいいなぁと。

だから、進学するなら行く大学はほぼ決めてある。
そこに行くか、行かないかで最終的に決断が出来ずにいるだけで。

高校を卒業したら、ひまりとは離ればなれになってしまう。
分かってはいるけど、今でもクラスが違って会える時間が減ったのに。
学校自体が違えば、当然会えないわけで……。

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