彼の素顔は甘くて危険すぎる
甘く危険な誘惑を提案されたら⁈

(不破視点)

12月上旬。

腹痛の原因が慢性虫垂炎だと判明し、点滴による治療で一先ず症状は落ち着いたが、生活環境の変化によるストレスと過労が症状を再発させるらしい。
定期的に治療を受けながら経過を観察することになった。

自宅に戻った俺は、日頃の睡眠不足を取り戻すかのように深い眠りについた。

その日の夕方。
来客を知らせるチャイムが鳴り、玄関へと向かうと。
そこにいたのは、隣の席のヘルパーさん。
自宅を教えてもいないのに、何故自宅にまで来たのかと思ったら、事務所スタッフが要らぬ世話を焼いたと判明。
けれど、水以外口にしてなかった俺は、彼女の『お粥』という言葉に反応してしまった。

まぁ、俺の正体が昨日の一件でバレただろうし、病院へ付き添ってくれたお礼も兼ねて招き入れることにした。

部屋に入った彼女は、室内をキョロキョロと見回しはしたが、それほど変わった様子は見られない。
持参したお粥を温め、テーブルに並べた。
しかも、煮物まである。
やっぱりヘルパーさんは、痒い所に手が届く。

食べてみると、思ってた以上に旨い。
ジャンクフードに慣れてる俺の舌が、意外にも優しい味に反応した。
無意識にがっついて食べていたら、彼女の足がとある場所で停止した。

自宅にある音楽ブースに。
曲作りのためにある程度の楽器がその部屋に置かれていて、使用時は閉め切ってることもあり、使用してない時は換気のためにドアを開けてある。
防音設備は気密性が高く、故意的に換気をしないと低酸素状態に陥りやすい。

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