はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
「ごめん。今日は仁乃とーー」
"帰るから"そう続けて断ろうとした時だった。
「あー!私、用事思い出した!ごめん、明華。私先に帰るね!一ノ瀬くん、明華をよろしくっ」
パチっと可愛いウインクをして、ダッシュで校門へと走り去っていく仁乃。
「ちょっと!にのっ!!」
大きな声で呼んでも仁乃は止まることなく、あっという間に背中が見えなくなってしまった。
ちょっと待ってよ・・・嘘でしょ?
なんで置いてくのよー。仁乃のバカ。
この状況をどうしろと?
私には一ノ瀬くんと帰るっていう選択肢はない。
じゃあ、このまましれっと私も校門に向かうしかないよね。
うん、そうしよう。