どんな君も、全部好きだから。

図書委員の女の子(Side 賢斗)

家族以外で気を許せるのは幼馴染の二人だけだった。

でも蓮とりぃの間には俺が入り込めない絆があるのがわかったから、気を遣って距離をとっていたこともあった。

俺のそんな行動に気づいた二人から散々『アホか』と怒られたので、今はもうそういうことはしないけど。


自分にとってたった一人の人をもう見つけている二人のことが、正直羨ましかった。

俺に寄ってくるのは、俺の外見しか見ていないヤツばかりだったから。


中学のときがいちばん精神的に荒れていて、寄ってくる女を受け入れもしないかわりに拒否もしなかった。

いちいち相手をするのがめんどうだったから放置してた。

俺の外見だけが好きな女たちにとって『拒否されない』のと『受け入れてくれた』のはイコールだったらしく。

いつのまにか俺は『彼女を作ってはすぐ別れて、また新しい彼女を作る軽い男』になっていた。

実際は校内や学校帰りに勝手についてこられて、強引にあっちこっち引っ張りまわされてただけだったんだけど。


そしてそういう奴は俺の言動が理想と違ったらすぐに飽きるか幻滅して離れていく。

勉強は好きじゃないけどテスト前はそれなりに勉強するし、学校行事はめっちゃやる気出すし、掃除当番もクラスの係も委員会もちゃんとやる。

そういう普通のことさえも、俺がやると『柄じゃない』と言われてなぜかしらけさせてしまう。

派手な外見の俺が、何か真面目にやるのはダメらしい。
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