恋のGraduation
少しだけ周りを気にしつつ、そっとくちづけを交わすと、満たされた想いで部屋に戻った。

パスケースをよく見ると、模様の他に、小さく二人のイニシャルも刻まれてある。

私は、今まで使っていたパスケースから一枚の写真を取り出し、シュンがくれたほうに入れた。

京都へ行った時のものだ。

ボロボロな姿の自分はともかく、それは二人にとって、ティーン最後の夏の想い出のフォトグラフだから。

こんな弾けるような笑顔、大人になってもずっと忘れずに居たい…写真を見つめながらそう願った。
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