魔法のいらないシンデレラ 3
第二十四章 一通の手紙
年が明け、人々がまた日常生活を送り始めたある日、瑠璃はすみれをナーサリーに送り届けに来ていた。

「あけましておめでとうございますっていうのよね?かあさま」
「そうよ」

手を繋いだすみれは、お正月にたくさん使った言葉を思い出して、練習している。

「きょうは、こゆせんせいじゃない?」
「そうね。美和先生だと思うわ」

ナーサリーに着いて扉を開けると、美和が笑顔で迎えてくれる。

「みわせんせい、あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます、すみれちゃん、瑠璃様、そして蓮くん。今年もよろしくお願い致します。すみれちゃん、とても上手にご挨拶出来るのね。さあ、靴を脱いで上がってね」
「はい!」

瑠璃は、美和に連絡ノートを渡すと、今年もよろしくお願い致しますと言って、ナーサリーをあとにした。

部屋の外に出ると、肩から掛けたバッグのサイドポケットから、封筒を取り出す。

先日、ホテルに届いたばかりのその手紙は、宛名に一生と瑠璃の名前、そして差出人の住所はなく、封筒の裏に名前だけが書かれていた。

瑠璃は、淡いグリーンのその封筒を見ながらため息をつく。

すると、胸に抱いた蓮が、瑠璃の顔を見ながらニッコリ笑った。

「蓮、ご機嫌なのねー」

瑠璃は封筒をバッグに戻すと、蓮の頭をなでながら歩き始めた。
< 199 / 236 >

この作品をシェア

pagetop