魔法のいらないシンデレラ 3
6月の下旬。

いよいよ1回目のリーダーミーティングが行なわれる事になった。

オフィス棟に足を踏み入れた小雪は、ドキドキしながら辺りを見渡す。

(こ、ここで合ってるかしら?)

会社勤めをした事がない自分が、まさかこんな大事な会議に参加するなんて…

そう思いながら、引き受けてしまったものは仕方ないと気合いを入れ直す。

ナーサリーを出る時、すみれを託した美和に、
「大丈夫よ!いつも通りの小雪先生でね」
と笑顔で送り出され、すみれも、
「こゆせんせい、がんばって!」
と可愛く応援してくれた。

(すみれちゃん、私、頑張るからね!)

顔を上げて廊下を曲がると、先を歩く男性の姿があった。

(あ、あの人!)

知っている人がいた事に小雪はホッとして、思わず声をかける。
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