バレンタインチョコと四人の恋
「私が恋してるのは、この新作味のメロンパン!かぼちゃクリームが中に入ってるんだけど、これがまた生地と絡んで最高なのー!」


「新作メロンパンって…。あんたねぇ、それは恋って言わないのー!」


「あはは!もう十月だよー?依茉も恋の一つや二つくらいしないとー」


「そうそう!恋って毎日がすっごく楽しいんだからね!」




この会話も、毎日している。


そしていつも通り思うことはただ一つ。




「私にはまだ恋なんていいのー」




まだ恋バナで盛り上がっている端でメロンパンを食べ終わり、喉が渇いたので一人席を立ち教室を出る。


前までは楽しかった恋バナも、今では少し苦痛だ。



恋なんてしなくても、おいしい食べ物と出会えれば毎日楽しいのに。


どうしてみんなはそんなに恋を求めるのだろう…?



自販機を目指して階段を下りていると、そばでじゃれあっている男子たちがいて危ないなあ、と思いながらも横を通り過ぎる。


その時だった。
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