うそつきな唇に、キス
Liar / バリエーション
ꄗ
「────ということがありました」
「ええええええええ、僕も一緒に行きたかったンやけど!!!えるちゃんト旅行!!」
「旅行って言うほどのものじゃ……。それに襲撃受けたって、」
「僕モえるちゃんの曲芸見たかった!!」
「あの曲芸言うのやめてもらえます?」
夏季休暇が終わって、学校に登校した初日。
所謂始業式後に、早速睿霸に絡まれてしまった。
まあ、そのほとんどが、なんで僕の通話無視しタん?!っていう文句だったけど。
あれだけ鬼電されたら、誰だって出る気が失せる。それも、その相手が睿霸なら尚更。
「ほんなら、他になんかなかッたん?」
「なんか……。そう、ですね……」
何か他にあったかな……?と、考えていたら。
「────本当に、お前は油断も隙もないな、喵」
「あ、若サマ、それに琴」
ぐいっと、睿霸の襟元を引っ張って、わたしのそばから引き剥がしてくれたのは、どこからか戻ってきた若サマだった。
実は、登校する時送ってくれはしたんだけど、何か用があるらしくてわたしひとりだけ先に学校に来ていたのだ。