【短編】君にあげるチョコ
バレンタイン
「ねー凪咲(なぎさ)ー」

「なに」

「今日、何の日か知ってる?」

「知らない」

「そっか……」



本当は知ってるよ。

嘘ついてごめんね、(あき)

そんなにシュンとした顔しないでよ……。

わたしだって本当はわかってる。

だって……今日は一年に一度……2月14日のバレンタインデー。

暁の分はもちろん準備してる。

けど……素直になれない。もう少し……かわいげのある女の子になりたかったな……。



「凪咲?」

「なんでもない。早くしないとおいてくよ」

「待ってよ」



暁と学校に行く途中、今日は何の日か聞かれたけど、素直になれないわたしは知らないと言ってしまった。

学校についたら。量産したチョコクッキーをみんなに配る。

……暁の前では知らないって言ったのに。

暁の分のクッキーはない。別で準備してるから。

だけど……素直になれず、渡せないわたし。ほんとにチキン。



「凪咲、俺の分……」

「菜々!ハッピーバレンタイン♡」

「キャー!凪咲、ありがとう!え、うっま!アイシングしてるの?」

「そだよ」

「クオリティー高すぎるんだけど。わたしには真似できない」

< 1 / 6 >

この作品をシェア

pagetop