世界の数よりも君と一緒にいたい
うん、そんなことないと思う。怖くないわけがない。

でもこの世界――作りものの世界――は僕と千世のふたりしか動けないのだ。

今の今まで、例えば公園で遊んでいた人はそのまま動かないでいたりする。

薄く灰色がかっている世界で僕と千世以外が動かないなんてちょっと不気味でもあるが、“ふたりだけ”なこともあってあまり気にしなかった。

“ふたりだけ”だから警察もいない、悪人も善人も、物を売ったりする商売人だっていない。形しかないのだ。

見られているのは千世だけ。

そう考えると思いっきり蹴散らしてぐちゃぐちゃにやってしまってもいいかもしれない。

うん、怖いけどそれはそれで楽しいだろう。千世と僕以外がいたら少々、……いや、ものすんごく気が引けるが、ふたりなら。

怖いという感情が消えることはないだろう。

……でも、やってみてしまおうか。

蹴散らして、花びらを舞せるように。
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