世界の数よりも君と一緒にいたい
この子はしょっちゅう笑うなあと、そんなことを思った。

「その能力は何か役に立つの?」

「……あたし世界作ってるんだよね」

突然質問の答えにならないような、意味の分からないことを喋り始めた。

「まだめっちゃ未熟なんだけどさー。世界作って悪い人とか死にたいって人をその世界に閉じ込めると、閉じ込めたあたしと閉じ込められたもうひとりだけの世界ができるの」

言っている意味がファンタジーすぎて理解が追いつかない。

「つまりは、時間が止まって動けるのがふたりだけになるってこと」

なるほど。

でもその作られた世界でふたりになってもいいことはないんじゃないだろうか。

「作られた世界で人が死ぬと、その人は本当の世界に生きてた人じゃなくなるんだ。本当の世界にいる人は親でも友達でも、死んだその人のことをなかったことにされるってわけ」

「つまりは、ここで死んだら生存していた記録はすべて消される、と?」

「そうそう、そういうこと」

女の子は「説明するのって意外と難しいねー」とケラケラ笑っていた。

「この世でこの能力持ってる人は数えられるだけしかいないんだよ。だからあたしに会えた君は運がいいね」
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