君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かいから
暖と電話を切ったあともその日は一晩中泣き腫らして、朝になるとひどい顔になっていた。

でもそれと同時にあの時あの瞬間に暖に電話をかけることができて良かったと、後悔はしていなかった。

昨日よりも私の中のモヤモヤは薄れていた。

「おはよう、お父さん」
「お…っその顔、もしかして昨日の…」

お父さんが心配しているのが分かる、きっと昔の時の私を思い浮かべているのだろう。
けれど、前に戻る訳にはいかないのだ。私は変わりたいから。

「ううん…大丈夫だよお父さん。もう私逃げないよ」

私の固い意思を受け取ったのか、お父さんは驚いた顔をしていたがすぐに「わかった」とだけ言って微笑んでくれた。

しんどいことも、苦しいこともない訳じゃない。
あたりまえだ。だって愛する人がもうすぐこの世界からいなくなってしまうのだから。

それでも…この時間と向き合わないと私は絶対に後悔すると思ったのだ。
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