君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かいから
そう思うと少しむっとしてしまい私も同じようにそっけなく返してしまう。

「知ってますけど、それがどうかしましたか」

我ながらひどい言い方だと思う。
自分の底意地の悪さにあとから罪悪感が湧いてくる。

けれどそんな私の言い方など気にしていないように彼は話を続けた。

「今日もきてないの?」

"今日も"とは暖が学校を休んでいることを知っているのだろうか。

口ぶりからするにもしかすると彼は暖の友達、
だったりするのかもしれない。

でもこの人が暖の友達…?と少し疑ってしまう。
だって全体的に真反対だしすごく優しい暖と、少し冷めていそうな彼は合わなそうだ。

そんなことを考えて返答が遅れる私に彼はイラだっているのかジト目で早くしろ、と言わんばかりに私のことを見ている。

「あ、えっと、休んでます…」

彼の圧に負けて、さっきの威勢はどうしたんだと言わんばかりに恐縮した言い方になる。

彼は「そっか」と言い放ち要件はもうないと言うようにその場をすぐに離れようとする。

「あ、あの!!」
思わず声をかけてしまった。

その瞬間、始業のチャイムがなった。
私はもうこの時点で体育はサボってもいいかと思っていたが彼は違うかもしれない。

そう思いなかなか次の言葉を言いづらくなっていると、「なに」と返してくる。

特に急いでる様子はなく彼も授業にはでないのだろうか?

「えっと、その授業は大丈夫なんですか。あと暖の友達なんですか?そもそもなんでここにきたんですか」

私は聞きたいことが山程ありすぎて彼を問いただすかのように一気に言葉を喋ってしまう。

「……ふっ」

彼は無言になったかと思いきや小馬鹿にするように笑った。
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