雨女の雨野さんは忘れっぽい

1.雨女の雨野さん


僕…伊般人(いっぱ じん)のクラスには雨女がいる。
「やばっ!雨降ってる!傘持ってきてないのに〜」
「うちの傘入れてあげるよ」
基本登下校は雨が降っている。
晴れていることは滅多にない。
ちゃんと傘持ってきといてよかった…。
僕はチラッと窓側の席を見た。
「……」
窓の外を眺めている雨女の雨野さん。
相変わらず何を考えているのかわからない。
雨野さんはいつも朝早く来ていていつも最後に教室を出ていく。
なんでかは僕にはよくわからない。
雨野さんは人付き合いが苦手な人なのだろうか?
誰かに声をかけられてもあまり多くは語らず話さず…とてもクールな人なのだ、と僕は思った。
いつも一人でいて一人でご飯を食べて一人でどこかへ行き一人で帰る。
そんな雨野さんに皆は声をかけるのを躊躇っている。
雨野さんは息を飲むほどの美少女なのだから無理もない。
そんな雨野さんが一人で行動するのを邪魔することなんて僕たちにはできない。
僕は静かに教室から出ていった。
雨は…やむことはなかった。
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