ダメな私に恋してください

始まりと失敗

私は紗倉凛。
今年から念願の高校生になる。
念願とはいっても、自分が本当に行きたい高校とは違う。私の進路は全て祖父に決められた。今まで一緒にいた友達とも家族とも離れ、1人祖父母と暮らすことになった。

私は昔からおじいちゃんっ子で祖父も初孫だったためとても可愛がってもらった。しかし、塾の講師をしていた祖父は私が大きくなっていくうちに祖父は
「高校は〇〇高校に行きなさい。卒業したら〇〇大学に行って看護師になりなさい」
と、私の進路、職業など様々なこと言うようになった。私は「うん!凛は看護師になる!」と言うと、祖父はとても嬉しそうに笑った。

中学生になり、私にもなりたい職業が見つかった。きっと祖父なら応援してくれるだろうと信じて。
「じいじ!凛ね、保育士さんになりたいな!毎日小さい子のお世話して、とっても楽しそうだよね!」わくわくしながら祖父に話した。しかし、祖父は応援してくれるどころか、私も初めて見るような怒った顔をして、私の両腕を掴み、言った。
「保育士?ダメに決まってるだろ!
これからの時代は少子化で子供も少なくなっていくのに、給料は低い。そんな仕事なんてダメだ!お前は看護師になるんだ!」と。
私の中でなにかが壊れる音がした。
あんなに大好きだった祖父を初めて怖いと思った。

それからというもの、おじいちゃんに嫌われたくない一心で、勉強を頑張った。テストの結果も模試の結果も全て報告し、悪かったら少し嫌な顔をされた。

祖父の家に引っ越して一週間経ったが、全くなれずにいた。せっかくの1人部屋も、祖父母は構わず入ってくる。私は祖父母の前ではずっと偽りの自分でいた。
いつのまにか、夜は自然と泣いていた。
まだ入学もしてないのに。悔しかった。

ついに入学式前日になった。母がわざわざ飛行機に乗ってきてくれた。母を空港まで迎えにいくと、なぜかハイテンションになっていた。まるで幼い子供のようだった。そんな私を母は笑顔で見ていた。
そして入学式当日。
不安だったが、優しい先生に恵まれた。
明日からの新生活が楽しみだった。
母を空港った時母は心配そうな顔をして私に言った。「凛。どうして泣いてるの?」
私はその時初めて泣いてることに気づいた。私は適当に誤魔化そうとしたが、涙が溢れて止まらなくなった。

それからの学校生活は初めてのことばかりで、楽しかった。しかし夜になると眠れなくなり、泣いていた。祖父母にバレないように。静かに声を押し殺して、落ち着くまで泣き続けた。
そんな生活を送っていたもちろん体調が崩れていった。2週間に一回はどうしても学校に行けない日があった。だんだん週に一回、3日に一回休むようになった。
祖父母は母に連絡し、病院へ行った。病院では軽鬱だと言われ、睡眠薬や頭痛薬など、沢山の薬を処方した。
私は薬を飲み続けたが、治ることはなくついに学校に行かなくなった。
毎日毎日たくさん泣いて、薬を飲んで寝る。
そんな日を過ごしていた時、私は死のうと思った。祖父母にも迷惑ばかりかけている、そんな自分が許せなかった。学校を休むことで祖父母に怒られ、正直もうどうでも良くなった。私はその日の夜、睡眠薬をいつもより3錠多く飲んだ。

「凛!凛!起きて!」祖父の慌てる声が聞こえる。机の上に置きっぱなしにしてた薬のゴミで気づいたらしい。
目が開かない、体が浮いてるみたいだった。
それと同時に、「死ねなかった」という気持ちが押し寄せた。

意識がはっきりしたのは次の日の夕方だった。祖父母に怒られ、両親にも怒られた。
それからあの時死んでれば。と思うようになった。
結局体調は良くならず、一日中ベッドで過ごすようになったある日、私が知らない間に、母が来ていた。意識が朦朧とし、ぐったりと寝ている私を見て母は泣き崩れた。
「ごめんね、ごめんね」といって。

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