弱小流派の陰陽姫【完】

「なんか大変そうだね……」

「大変ではあるけど誇りもあるよ。……言ってもうちは弱小流派だから、白桜様や黒藤様は、本当雲の上の人みたいな感じだよ」

あはは、とから笑いする月音。

神崎流は陰陽師一族ではあるが規模も小さく、届く依頼も、縁のある寺や神社が抱えきれなくなったものが回されてくる程度だ。

月音の父当主も一般の会社員をしていて、休日にたまに陰陽師の仕事を請けるくらいしか機能していない。

「あ、そろそろ戻らないと。授業始まっちゃうね」

「え? あ、だね」

月音が壁にかけられている時計を見上げて言うと、煌も肯いた。

二人で教室へ戻るが、最近煌が月音によく構っているので、いらない憶測が流れている。

いちいち気にする月音ではないので放っておいているが。

「月音~、今日も推し活?」

「そう! 白桜様と百合緋様を物陰からうかがってたの」

「いやただのストーカー発言」

「月御門くんならやばい気配感じればすぐに投げ飛ばすでしょ。有段者だし」

煌とのことで噂を立てられても、月音は推し活にしか興味がない子と思われているので、そんな月音にわざわざ嫌がらせをしてくる暇人は、この学園にはいなかった。

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