生と死と恋の間で~死神?!に恋した陰キャJKの1週間~
総合病院

さくらが病院に入ると、壁や天井に広がっていた黒い煙が、さくらを避けるように、ざわざわと逃げて行った。

『効果絶大だ・・・。』

と、さくらは鎖骨の辺りを触りながら思った。



さくらが運ばれた病院は、県内でも有数の総合病院だったので、普通なら朝早くから順番を取り、2時間近く待たされることもあるが、

母が予約をしてくれていたので、待ち時間もほとんどなく、スムーズに診察してもらうことが出来た。


診察室に母と一緒に入る。

主治医が神妙な面持ちで、聴診器でさくらの心音を確認したあと、診察台で横になったさくらの腹部を

軽く押し、痛みがないかを確認する。

さらにエコーも使い、内臓が損傷していないか、再度確認された。

事前に受けた血圧の結果や、血液検査と尿検査の結果も合わせて確認する。

再度、腕や足を不思議そうに確認するが、あの階段から落ちた時の傷は、どこにも見当たらない。

母が前日の夜のことを話すと、主治医は、パソコンの画面で退院前の脳のMRI画像を確認してくれた。

主治医の見解では、脳に異常は見られないので、もしかしたら眼科の方かもしれないと、母に説明していた。

母が納得していたので、ひとまず黒い煙の件は、うまく誤魔化せたようだった。

さくらの主治医に、再度、健康体というお墨付きをもらったが、念の為、体育は見学するよう

言われた。

さくらが診察室から出た後、さくらの主治医は、さくらの回復力をまだ信じられず、

「来週、ちょっと有給取ろうかな・・・。」

と、看護師に言った。




院内は、どこもかしこも黒い煙がうじゃうじゃと広がっていたが、さくらが通るたびに、まるで

浄化でもされているかのように、消えたり、逃げていったりした。


帰りの車の中で、母は、明るい声で、

「さくら、学校、無理して行かなくていいわよ。なんだったら、転校してもいいんだからね。

転校もしんどいようだったら、今はオンラインの学校もあるみたいだし。」

と言った。

母の私に対する気遣いを感じた。私に気付かれないよう、学校と連絡を取り合っていることも知っている。

確かに、私を突き落とした相手は学校にはもういないが、この事件を知らない生徒はいないだろう。

登校すればきっと、好奇の目にさらされるだろう。母が心配するのもうなずける。

正直、母からの提案はありがたかったが、

真一とのゲームのこともある。

「ありがとう。でもあと少しで卒業だから。もうちょっとこの学校で頑張ってみる。」

と、さくらは言った。

「そう。無理そうだったらすぐに言ってね。」

と、母は優しい声で言った。
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