夢を現実にして生きる~ 2部あれから

夢を・・・


【最低な母親】

それぞれの季節が廻っては
色々な想いで過ぎて行った

・・・もう、起きたくない・・・

ママと兇パパとポメラニアンのモモちゃんと
1DKのアパートに住んでいる

私は3歳

「あんたには、戸籍が無いんだよ」

とママが言った
言われた意味も分からずニコニコしてる 

ママは未婚で私を産んだ
ある時から兇懼(キョウク)なパパが住み始めた
そして虐待が始まった

ママは昼に兇パパにLineした

「琴羽(ことは)がね 
モモちゃん触るから、思いっきり蹴ったら吹っ飛んだ
流石に横腹は痛くて動けないみたい ウーて言ってた(笑)」

2人の機嫌で
お茶を溢すと叩かれた
服を汚すと殴られた
おにぎりは見るだけ
兇パパが居るときに食べると怒られる

兇パパが仕事から帰ってくると
お化粧が終わったママは、兇パパと旅行に出かけた

私は、モモちゃんとお留守番
グゥー お腹がすいた
今日も夕ご飯は抜き
モモちゃんからドックフードを分けて貰う

「琴羽(ことは)に少し、頂戴」

ママたちは人身売買で
私を大金に換えようと
愛情も与えず育てた
5つになった日  
幼女の売買を生業とする
仲介業者がうちに来た

「寝ているのか おい、起きろ 行くぞ 死んでるのか」

「琴羽、琴羽 起きてよ 今からお出かけよ」

「起きないじゃないか これじゃ連れて行けねえな 取引の話は、なしだ」

わざと寝ている様に見せかけたので、
仲介業者に連れて行かれず、怒鳴る男の声だけが聞こえた

「計画失敗したな、使えねえ奴だな」

夕方、兇パパから気を失うほど殴られた 
ママは、止めるどころか 吸いかけの煙草を投げつけた

「ごめんなさい・ごめんなさい・ごめんなさい・・・」

何度言っただろう
呪文を唱えるように口癖になった

・・・優しいパパとママが欲しかった・・・

今日は、いつもにも増して泣き疲れて寝た
何度も死ぬ、怖い夢を見た
郭・禿・太夫・・・過ぎ去りし時代の夢

令和時代で産まれ、7度鎌倉時代~江戸時代の何処かにタイムスリップした
病死・事故死・自害・焼死・身投げ・毒殺・失血死   
その都度、宿・廓での短い惨憺たる生涯を終えた
そして8度目の夢を見た
・・・遠い過去の私・・・記憶が蘇る

この後、3つから寝たきりの状態で
新しい人生を夢の中でやり直す


【銀夜という男】

天界の白龍王には、6人の息子がいた 
王様・王妃・長男・次男の4人だけの秘密があった 

この次男だけ酒池肉林で傍若無人
遠慮解釈が入り混じる変わり者だと・・・

その名は、銀夜

気性は短く年は若い腕っ節も最強 
売られた喧嘩は必ず買った
外見はパールホワイトの長い髪に
琥珀色の切れ長の目
スラっと背が高く 
纏(まと)うは、原色の生地に
派手な柄の着物を好んだ   

幼少より頭脳明晰で白龍国では
王子にして異例な医師になり
最近では信頼も回復した

以前は同じ白龍国の公爵の息子で
幼馴染のクレハとつるんで暴れまわた
天界では何度2人を捕まえても
妖術を使い逃げ出す

「たまには、聞いてやるか 仕方ねえな」と
神妙に聞いているふりをしては瞬間移動をする 
城から出ては盗賊から
「その財宝を置いていけ」
と剣を振り回しかかってきた盗賊を切り捨てる 
目の保養とばかりに金銀財宝を手に取り酒を呑む 

イカした女がいれば声をかけ近くの宿に連れ込んだ 
処刑場に面白がって乗り込み

「俺にやらせろー」
と罪人の首も刎ねた 
いつもどこかで喧嘩をし血を浴びた着物で
酒の臭いをまき散らしながら、
クレハと銀夜の離れに帰って来る 
クレハは銀夜の離れに入りびたりの生活 

中性優男と男系優男が2人で暴れると
「ヒューヒュー やれやれー」
かっこよがって応援する輩まで出てきた始末 
「この、馬鹿どもがー」
これには、王様も公爵も頭を抱えていた

「 老若男女問わず 子供や善人まで殺す 残虐非道な人 」
人の噂も七十五日というが悪い噂は
いつまでも 尾びれがついて大きく流れる 

「や~めた」
それがある日突然別人の様に改心した
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